国家や法人やBTCを購入するニュースが頻発

2020年頃から、TeslaやMicroStrategyを筆頭に米国の法人を中心にBTCを購入するニュースが頻発し、トレンドになりつつあります。購入や売却、イーロン・マスクのTweetばかりがニュースでセンセーショナルに流れてくるので、なんとなく知っている方もいらっしゃるでしょうか。

直近で言えば、エルサルバドルが国として、日本ではネクソンがBTCを購入したと発表しています。

このニュースを聞いた方のほとんどは「企業がリスクとって攻めてる」と受け取っていると思いますが、その認識は大きく異なります。この記事ではBTCを購入している法人のデータをまとめ、購入の理由、これから法人としてBTC購入を検討している企業宛に参考になる情報をお届けします。

目次

BTC購入を発表している代表的なプレイヤー

国家や政府のBTC購入事例

2021年にはエルサルバドルでビットコインを法定通貨とする法案が議会を通過したことが大きな話題になりました。
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また、すでに国として購入しているのはブルガリアやウクライナがあるようです。
202403_MicroStrategy1エルサルバドルを皮切りに途上国を中心に続々とBTC保有を国に認めさせる法案を議会に提出する流れが世界的に起こっており、今後も加速していく見込みです。

法人のBTC購入事例

2020年8月, MicroStrategy社が法人として初めてBTC購入を発表

MicroStrategyは地球上の他のどの上場企業よりも多くのビットコインを保有している企業です。MicroStrategyは、創業者のマイケル・セイラーが1989年にアメリカで設立し、コンサルティング⇒データを可視化するBIツールを提供する会社へと成長し1998年に上場しています。

2020年8月、MicroStrategyがBTCを購入したニュースが出たことにより、上場した法人がBTCを購入した初めての事例として世界的に話題になりました。当時は2.5億ドルの資金を投じ、21,454BTCを購入、平均取得単価は11,652ドル/BTCで購入したのが始まりです。その後、複数回BTC購入を発表し購入総枚数は92,079BTCとなっています。
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2020年10月、Square社がBTCを50Mドルを購入

SquareはTwitterのCEOであるジャック・ドーシーが設立した2番目の企業です。Squareは、小売店やeコマース向けの決済ソフトウェアとハードウェアのスイート製品で最も知られています。また、非常に人気の高い決済アプリ「Cash App」の生みの親でもあり、2018年にはユーザーがBTCを購入できるようにしていました。

そして2020年10月、スクエア自身が50Mドルのビットコインを購入しました。2021年2月、その3倍以上のBTCを購入しています。ドーシーは、ビットコインの大口出資者であり続け、スクウェアの非営利ビットコイン開発基金であるsquare cryptoを通じて、ビットコインの発展に尽力しています。
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2021年2月、Tesla社が15億ドル分のBTCを購入

Tesla社は電気自動車の会社で、CEOのイーロン・マスク氏でも知られています。

TwitterでBTC関連のTweetを行い相場に影響を与えていることで度々話題になりますが、BTC購入以前よMicroStrategy社のマイケル・セイラー氏に大量のBTC購入方法を聞くなど興味を示していました。

その後、Teslaは2021年の2月に15億ドルの購入を発表しています。
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2021年5月、ネクソンが日本で初めてBTCを購入

日本国内ではネクソンが国内で初めてBTCを購入しています。

ネクソンの社長兼CEOであるOwen Mahoney氏は、今回の購入について次のように述べています。
BTCの購入は、株主価値の保護と現金資産の購買力を維持するための規律ある戦略を反映しています。現在の経済環境において、BTCは長期的な安定性と流動性を提供すると同時に、将来の投資のために現金の価値を維持することができると考えています。
この購入は、2021年のBTC相場の頂点近くで行われたもので、(2021年時点では)ネクソンはこの取引で大きな損失を出している状態ですが、この購入は、Nexonの手持ちの現金同等物の合計の2%未満になるので、株主からの圧力で手放す可能性は低いのではないでしょうか。

その後、BTCを購入する企業は続々と登場しており、保有量と企業名はこちらのサイトで一覧で確認できます。
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Microstrategyが1位で、Teslaもランキングに入っています。

機関投資家、ETFなどの購入

国や法人だけでなく、機関投資家向けのETFなどの購入量も増加傾向です。
Grayscaleは2013年に設立された暗号通貨信託投資企業です。現時点においてBTCを一番多く保有している企業で、2018年初の仮想通貨バブル以前よりBTCを購入している界隈では老舗の企業になります。 2021年6月現在では65万BTCを保有しており、総発行枚数の3%近いBTCを保有しているので相場に対する影響力も大きいものになります。

端的に説明すると、「仮想通貨への投資したいが、よくわからないし怖くて踏み切れない人向けに」BTCの投資信託を販売しています。運用をGrayscaleに任せることによって、リスクと税金を抑えた運用をすることが可能です。
本的にGrayscaleの運用資産残高もBTCに連動するチャートになっています。
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余談にはなりますが、日本では、未だどこの証券会社も仮想通貨のETF(上場投資信託)の取り扱いを行なっていません。そして、日本の居住者はGrayscaleの投資信託を買うことはできません。こうやって米国との差が開いていくことは非常に残念なことです。

このままでは数十年後に価格の上がりきったBTCをアメリカや中国から買い戻す羽目になるのは自明です。

世界的なヘッジファンドの購入

有名なヘッジファンドもBTC購入に積極的です。ヘッジファンドの人間が公にBTCに対してポジティブな発言をする=すでにBTCへの投資は完了していると見ていいと言うことです。
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世界最大の資産運用会社、米ブラックロック(Blacklock)がBTCの先物市場に参入しています。

BTC購入情報の総まとめ

事例としていくつか上げさせていただきましたが、定量データを見てみましょう。BTCの総発行料は2,100万枚、そのうち法人企業が占める割合は上場非上場合わせても4%ほどです。

イーロン・マスクやマイケルセイラーのフットワークが軽くニュースに載りやすいのでよく目に止まりますが、割合でいうとETFや国による保有量の方が多いんですね。ETFの重要性が浮き彫りになった形です。
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なぜBTCが買われているのか

BTCのインフレリスクヘッジ、金の上位互換として、あくまで会社の資産を守るために持っている。と考えていいでしょう。ドルと比較して価値の保存先として機能しています。
理由を箇条書きにすると次の通りです。
  • 金よりも低インフレになりBTCの方が希少性が増す
  • BTCはプログラマブルであること
  • 決済制、資産性、複製不可の優位性
  • 分散ネットワークによる透明性

今後も買い増しの傾向が続く

世界で最初にBTCを購入した法人MicrostrategyがまたBTCを買いますと言っています。当然といえば当然ですね。彼らの現時点での保有総数は92,079BTC。総額の平均取得単価は約24,400ドル(267万円)らしく、暴落した現時点でも投資金額の2倍の利益が出ています(2021年時点)。

一定の条件下で株式に転換できる権利が付与された転換社債を使って資金調達を行いそのお金でBTCを買う計画とのことです。また、同時に保有している92,079BTCのBTCを管理する新たな事業体「MacroStrategy LLC」、および転換社債に特化した事業体「MicroStrategy Services Corporation」の立ち上げも発表し、保管と管理をそれぞれに行うためとのことでした。
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日本法人はネクソンがBTCを購入したのがニュースになっていましたが、企業がBTCを買い集める動きはエルサルバドルの1件でより強くなっていくと思われます。
法人が購入したニュースはセンセーショナルなので拡散され話題になりますが、BTCの総数は全体からみると僅かです。まだまだ、大企業はBTCを購入する準備ができていないと言えるでしょう。ですが、少しずつ企業の内部留保分の資金をBTCにして保存する事例が増えてくると思われます。

理由は法定通貨のインフレです。アメリカの流通紙幣は2,100兆円であるところ、コロナの影響で昨年の1年間で610兆円の資金が経済政策として新しく増刷されました。単純計算でアメリカドルの価値は3/4になっているはずです。

過去の歴史を見れば明らかですが、アメリカ政府の借金は過去最高金額を超えています。この傾向が続く限り、法定通貨の価値は既存され続け純金や資産性の高い商品への資産退避が傾向として続くでしょう。
そして、あらゆる資産クラスにおいて、BTCは圧倒的に高いパフォーマンスと流動性の高さを持ちます。不動産はすぐに現金化できませんが、BTCはできます。会社で数年間は持っておく現金をBTCに交換しておく経営判断はそれほど難しくないように思います。
上記で書いたように資本市場でビットコインや暗号通貨の話題が増えています。JPモルガンは、暗号通貨に特化した企業にリンクした仕組債を検討し、顧客にクリプトへの投資方法を提供しようとしています。「J.P. Morgan Cryptocurrency Exposure Basket」という名前で、MicroStrategyの20%、Squareの18%、Riot BlockchainとNVIDIAの15%を含む11銘柄のポジションを持ちます。目論見書によると、暗号通貨そのものは含まれていません。

また欧州最大の暗号通貨の資産運用会社であるCoinSharesは、Nasdaq First North Growth Marketへの上場を通じ、[正式に株式を公開しました。このIPOは400%の応募超過となり、総額$80M ドルを調達し、2280人の新規株主を獲得している点からも、業界への関心の高まりが見て取れます。

さらにノルウェーの石油・ガス会社Akerは、ビットコインおよびビットコイン関連プロジェクトへの投資を専門とする新会社「Seetee」を発表しました。資産をビットコインで保有しながら、風力・太陽光・水力発電などを活用するマイニング事業を進めるそうです。またビットコインのエコシステム内のプロジェクトに投資する計画にもなっています。

大手企業が暗号通貨を保有した話題でいうと、香港上場企業の Meitu が 380 BTC($17.9M)と15,000ETH($22.1M)を市場で購入したことを発表しました。

暗号通貨をバランスシートにのせると発表したこれまでの上場企業と少し違うのは、BTCよりETHを多く買ってる点です。

この購入したETHは、

・将来的に企業が使う可能性のある dAPPのためのガスとなる
・ETHを受け付けるブロックチェーン・ベースのプロジェクトへの投資に使われる

とで発表されている点も新しいです。バランスシートにBTCをのせる企業は増えていくと思いますが、ETHを買う大手企業も増えていくかもしれません。

法定通貨の失敗事例(レバノン)

レバノン経済が大変な事になっているという投稿を見ました。
こういうのを見ると、リスクヘッジとしてのBTCの価値を感じることができます。
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日本円やアメリカドルのような法定通貨が市場に何枚流通しているか、正確に把握している人はこれを読んでいる人の中に何人いるでしょうか。所属する国の都合によって増刷され、持っているだけで価値が既存されていく法定通貨、個人の積み上げた資産を国が無責任に既存してくるリスクを法定通貨は持っています。

これは法定通貨の明らかな欠陥と言えます。


日本のような日本円が安定した国に住んでいるとこのリスクに気づくことはあまりありません、ですが、国によっては通貨の信用が失墜し紙幣が紙切れになってしまうような事例は枚挙に暇がありません。

日本円は大丈夫だと本当に根拠と確信を持って言えるでしょうか?

会社を経営されている方には一度考える機会を持っていただきたいです。

あなたの会社は国が無尽蔵に擦りまくる法定通貨をまだ持ち続けるんですか?」

あなたの任期はあと数年で終えられるのでしょうが、任期中に投資判断をしなかったことでの機会損失を受けるのは会社に残る若い層です。具体的な購入方法や税制なども複雑で、購入が簡単ではないことも明日の回で書きますが、10年20年先を見た経営判断をしてもらいたいものですね。

数百億の投資をどうやって取引するのか

このパートでは法人企業がBTCを実際に購入するためはどうすれば良いのかについて記述します。

法人がBTCを会社として購入する場合、その金額は〇〇億円と金額が大きくなりがちですので、個人投資家と同様に仮想通貨取引所で普通に購入してしまうと取引板に偏りが生じてしまい不利な価格で購入することになってしまいます。

そういった事象を避け、市場の適正価格でBTCを購入するための方法をSquareがホワイトペーパーとして公開してくれているので、先達の知識を借りつつ【購入時点】【資産管理】【保険】【会計】の観点から説明していきます。

BTCの購入はOTC取引で

法人がBTCを購入することに関して重要なことは、取引のプライバシーと価格の横滑りです。企業がBTCを購入する事実が取引所の取引履歴から市場にバレたら株式に影響を及ぼしますし、大量の資金投入により不利なレートでの取引になってはインフレのヘッジ以前に購入時点で爆損してしまいます

この問題を解決するための取引方法がOTC取引です。OTC取引とは、売り手と買い手が1対1で行う取引を指します。 OTC取引は、店頭取引や相対取引とも呼ばれており、売買を行う当事者同士が取引所を介さずに行う相対取引を意味しています。OTCはover the counterの略です

取引所を介さずに、BTCを購入できるので取引板にBTCの買い注文が載らずに取引することができます。また、取引を行う事業者と手数料と購入価格と期間を設定し時間加重平均価格で購入することで市場価格に近い価格でBTCを購入可能です。

Squareの場合は、価格変動が少なく流動性が高いと予想される所定の24時間の間に購入されたBTCの時間加重平均価格×手数料でBTCを購入していたようです

「日本 BTC OTC取引」で検索すると、仮想通貨販売所のコインチェックが上がってくるので、日本でもそれなりのBTC流通量を持つ事業者とOTC取引をすることになります。手数料がいくらになるかはその時のレートによりますが、販売所と同じスプレッド手数料を取られるのであれば他の事業者のほうが良いでしょう。

購入したBTCの資産管理

BTCのような暗号通貨を管理するためには秘密鍵を必要とし、移動は取り消すことができないため、これらの秘密鍵を保護することが重要です。秘密鍵をなくしてしまうと、所有しているBTCにアクセスすることができなくなってしまいます。BTCの総発行枚数は2,100万枚ですが、かなりの量が秘密鍵紛失により永遠に失われていると言われています。

資産はコールドウォレット管理が前提

また、秘密鍵を他人に知られてしまうと勝手に資金を移動させられてしまいます。よく「Bitcoinがハッキングされた」とニュースでは報じられますが過去のBTC盗難事件はほとんどが秘密鍵盗難による被害です。

インターネットに接続されたWalletを「ホットウォレット」、インターネットから切り離されたWalletを「コールドウォレット」と呼びますが、CoinCheckの事件は顧客の資産をホットウォレットに保存しておりそこをハッキングされた事による流出でした。

この事件以降、金融庁より暗号通貨を預かるカストデイ事業者は原則コールドウォレット管理が義務付けられ、秘密鍵をインターネット環境に置かない事が大前提となっています。

秘密鍵のマルチシグ管理が一般的

秘密鍵を法人で管理するのであれば、秘密鍵を奇数個用意し複数人で所有するマルチシグの形が一般的です。事業者の現場で管理するのであれば、現場担当者、その上長、管理責任者の3人でそれぞれに鍵を持ち2名以上の承認があった時資産の移動が可能になる仕組みで運用するなどが考えられます。この場合は2 of 3、5人の場合は3 of 5と呼びます。

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マルチシグ管理が一般的とはいえ、現場担当者と上長が結託すれば資産を奪うことができるため、互いに利害の異なるパートナー同士でマルチシグを持ち合う形が理想なのですが、秘密鍵を安全に管理できるリテラシーを備えた問題を抱えていない人材を社内で確保することは難しいです。実際、BTC盗難事件は内部犯によるものもかなり多く、ギャンブル癖や借金がある人に鍵を持たせることは危険を伴いますし個人の監査は難しいです。

自社での秘密鍵管理が難しい場合は、購入した事業者などに手数料を支払って管理を委託する選択肢もあります。アメリカではBitGoなどが事業者として有名で利用している事業者も多いです。

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BTC盗難保険の検討

BTCは基本コールドウォレットで管理されていますが、盗難の可能性を0にすることはできません。Squareでは保有BTCをさらに保護するために、ホットウォレットとコールドウォレットの両方で内部 or 外部からのBTC盗難を保護する犯罪保険契約を結んでいます。

暗号通貨の損失を保護するための保険は、資産がホットウォレットで保有されているか、コールドストレージで保有されているかによって、異なる種類の保険があり適用範囲も様々なので、カストディアンを選択する前に、デジタル資産がどこに保管されているか、どの程度の保険が提供されているかを評価することが重要です。

BTCの会計処理

一般的な会計のルールについて記述します(専門ではないこと、今後変化する可能性があるため正確な情報ではない可能性があることご了承ください)。会計についてはCBDCの登場やエルサルバドルでBTCが法定通貨になったりした影響で今後変わっていく可能性があります。

■Squareのホワイトペーパーを参照

Squareのホワイトペーペーによると、暗号資産は物理的な形をしていないため、耐用年数に制限がなく、暗号通貨は耐用年数が確定できない無形資産に分類されます。

資産の短期または長期の分類は、企業が投資をどのくらいの期間保有することを計画・意図しているかによります。Squareの場合、貸借対照表の分類は「その他の非流動資産」となり、脚注には四半期末時点の市場価値が記載されるそうです。

償却の対象とならない無形資産(耐用年数が確定していないもの)は、年1回、また減損の可能性を示す事象や状況の変化があった場合には、評価損益を計上する必要があります。

評価期間中のいずれかの時点でBTC価格が帳簿価額を下回った場合には、減損損失が発生します。減損損失を認識した後は、調整後のビットコインの帳簿価額が新たな会計基準となります。

そのため、購入したBTCの市場価格決定方法と追跡方法を明確に定めておくことが重要です。

■日本での会計処理

暗号資産の税金について知る前に、暗号資産の売却に係る課税の前提知識をおさらいしましょう。個人と法人でそれぞれ課税方式が異なります。

(個人の場合)
暗号資産を売却したタイミングで利益あるいは損失が確定し、売却金額が購入金額より高ければ課税の対象になります。課税区分は原則雑所得、累進課税により所得の金額によって税率が変化します。

例)10万円で購入したビットコイン(BTC)を40万円で売却したケース
売却金額40万円 − 取得金額10万円 = 差額30万円が課税対象

よく「仮想通貨の税金は55%!」と言われますが、その方は4,000万以上稼ぐ前提で喋っているのでめちゃくちゃ皮算用をしています。給料所得など雑所得全てを合算して最大税率45%+住民税10%が正しい理解です

(法人の場合)
法人の場合は売却しない場合においても期末時価評価を行い、評価益(含み益)について課税されます。

例)10万円で購入したビットコイン(BTC)が期末で時価40万円になっており売却せずに保持しているケース
期末時価40万円 − 取得金額10万円 = 差額30万円が課税対象

日本での暗号通貨の会計処理は基本的に期末処理になります。

この場合、課税対象について、法人税率を乗し計算された法人税を支払います。
この含み益課税が法人のBTC購入を妨げる要因になっており、BTCを保有している法人からするとBTC現物を持っていただけなのに含み益に対して税金がかかるためJPYを現金で用意する必要があります。利確していないのに、税金をJPYで払わなければいけない点が資金のどこから用意するか問題を引き起こし企業の投資を妨げています。

BTC価格が下落した場合は、本業の利益を圧縮できるので一長一短ではあると思うのですが、BTCは今後値上がりが見込まれる資産なので、含み益課税されてしまうと法人がBTC購入を躊躇してしまうのもわかります。

また、日本の税制は諸外国に比べても高い税率になっています。業界団体などが税率の変更を提案書として金融庁に提出しているのですが、中々スピーディに制度が変更されることは現実的ではないと思います。

法人がBTCを購入する手順のまとめ

1. 会社の意思決定者のBTCへの理解を高める
2. 実際に買う際の規則や法律の確認
3. OTC取引などを利用し有利な条件で購入できる可能性があるか確認
4. 資産はコールドウォレットで扱い、鍵はリテラシーの高い人材に持たせて分散させる
5. 購入したBTCの秘密鍵管理はマルチシグ管理や委託先の選定などが重要になる
6. 鍵の損失などに備えて盗難保険に加入する
7. 税金の処理に関して会社でのオペレーションを決めておく、Cryptoに強い監査法人を雇う

最後に

当記事は一般的な理解を深める情報提供のみを目的としており、具体的な投資判断の推奨や金融アドバイスとしての提供を意図したものではありません。
個人や企業は、これらの情報を法律、税務、投資、財務、会計、その他のアドバイスとして解釈してはなりません。

また、含まれるいかなる内容も、BTC、暗号通貨またはその他の金融商品の売買を推奨または保証するものではありません。